頂いたご質問への現時点でのご返信

こんにちは。
2月に入って立て続けにいくつかの機関・地域でAAAの面接技法の研修を開かせて頂きました。また協働スキルに関する研修のご機会を頂いた自治体もあります。本当にありがとうございます。
研修でお会いした方々の担当していらっしゃる地域が、2/14の大豪雪で孤立されたりといったニュースも流れ、大変案じております。一日も早い復旧をお祈りしています。


さて研修後アンケートで頂いたご質問にお答えさせて頂きます:

シートに夢中になり過ぎて傾聴が疎かになりませんか
シートについては無理にこだわっていることではありません。実践スキルの高い方は、シートを使わなくても同様の支援の対話を続けることはできると思います。とはいえ、実践スキルが不十分な方の場合、むやみやたらな「傾聴」を行うことにより、本人や家族の抱えている困難感に共感し過ぎ、強化してしまい、大変さを増してしまうことがあります。それを和らげるためにも、対話の内容をシートに書き出すことによって、バランスをとる効果はあると思います。もちろん、シートに書くのが目的なのではなく、生活状況を本人、家族がどう体験しているのかを傾聴し、整理しながら確認し、丁寧に把握していくこと、その中で困っていることや強みについても、本人・家族の視点からお聞きしていくことが目的です。

それから?ほかには?では対話が進まなかった/
望んでいる過ごし方をイメージしていただく質問法は?

それから?ほかには?という質問を使うコツはシンプルです。
もう一つの「望んでいる過ごし方」に関する質問と合わせてお答えさせていただきます。

1)その直前に、利用者やご家族の口から語られた状況(例外や対処、または望んでいる過ごし方)を、支援者の口から繰り返しましょう。
ここでは、望んでいる過ごし方について、話し合う例を挙げます
 「…そうですか…気持ちよいお風呂にゆったりとつかるのですね…」
こうして、自分の口から、相手が語った言葉を繰り返すことで、自分自身もその場面について想像していくことができます(ゆっくり書きながら、想像の時間を確保することも大事です)そして、見えるもの、聴こえるもの、感じるものについて考えてみます。気持ちよいお風呂にいると何が見えるだろう、どんな音が聴こえるんだろう。どんな場所かしら。湯温はどのくらい?どんどん想像が膨らみますよね。それを自由にまずは問いかけて下さい。
そうして、自分も十分に想像を一緒にしてみることが第一歩です。

2)思い浮かんだ場面の、続きを聞いてみましょう
ここでも、相手が聞かせてくれた場面について繰り返します。
 「雄大な空を見渡せる露天風呂で、岩風呂で、湯気が立っている中で、足を延ばして、ゆっくり気持ちよくお風呂につかっていられたら…。本当に気持ち良さそうですね…それから?その後は、どんなふうに過ごされますか?」
こんな感じで問いかけます。多分最初はすぐには答えが出ません。問いかける人がいることで一緒に考えることができますので、ゆっくりで構いません。どうしても考えあぐねてしまうようでしたら、
「…まだ夜は続いていますよね?いつもとはどんなふうに違いますか?」
等と最初の問いかけと同じような問いを重ねても良いかもしれません。

「例外」や「対処」、「望んでいる過ごし方」についての質問は、普段考えていないことを訊くので、頭が一瞬混乱してすぐには答えが出てきません。その答えが出てこないことを考えていただくことに価値があります。ゆっくり、一緒に悩みながら、「難しいことを聞いてごめんなさいね、ただ、こういうことを考えて頂くことが、とてもヒントになるんです」とお願いして問いかけを続けることが大事です。問わないということ自体が「あなたには自分の目標を設定する権利も力もない」という支援者の思い込みを反映してしまうことすらあります。答えが出るから良い、出ないから悪い、ということではなく、ゆっくりおたずねして「考える機会を提供する」ことから始めていただければと思います。

ながぬま