前前回のブログ(4月17日)では、(1)「加害している方に認知症がある事例へのAAAによる対応」について、前回のブログ(4月21日)では、(2)「誰をキーパーソンに?」について書かせていただきました。
今回は、(1)で書いた、専門医への受診、保健センターへの相談についてです。
介護支援専門員の方々や、地域包括支援センター職員の方々は、すでにご存じのことだと思いますが、まずはじめに、相談先について記述させていただきます。
・専門相談の相談先
認知症に関する専門相談は、認知症専門医にするわけですが、認知症専門医をよく知らないとか、直接知っている専門医はいない、といった場合には、つぎのような機関が、認知症専門医の紹介や受診/訪問等の調整を行ってくれるはずです(自治体によって、また、機関によって違いがあるとは思います)。
保健所/保健センター:高齢者の専門相談や医療機関とパイプを持っています。
自治体の高齢福祉主管課(高齢者相談係りなど):最近、自治体でも認知症専門相談や医療機関の紹介・調整を行っています。
県の保健福祉事務所(保健予防課):精神保健担当が医療機関に関する情報提供や相談対応を行っています。
(各県や自治体によって、異なる可能性もあります。)
・相談先や緊急対応窓口の具体例
横浜市では各保健福祉センターが、高齢者の専門相談を実施しています。また、専門医による予約制(月1回など)の相談も実施しています。
認知症高齢者緊急対応事業として、精神状態の急激な悪化により、認知症高齢者の在宅生活が困難となった場合、必要に応じて本人の安全な生活の確保と介護者の負担軽減のため、一時入院受入先の調整を行っています。
東京都では、総合精神保健福祉センター(中部・多摩の2ヶ所)の高齢者医療班も専門相談に応じています。受診までのハードルが高い事例の場合、見立て(訪問可)と医療機関の紹介を依頼することが可能です。また、暴力など激しい症状がある事例の場合、必要に応じて入院までの支援もしてくれます。
神奈川県・ 横浜市・川崎市・相模原市は、「精神科救急医療情報窓口」を協働運営しています。夜間の場合の精神科疾患の急性期で,措置入院等を要する状態の方の緊急受診(入院)先の相談窓口です。
この窓口は,「精神疾患の急激な発症や、病状の悪化により早急に医療を必要とする方に、受診や入院ができる当番医療機関(診療所・病院)を紹介してくれます。
・相談の仕方
キーパーソンの方に専門医や専門相談窓口を紹介しても、なかなか行っていただけず、援助職が困ってしまう場合があります。その場合は、援助職がコンサルテーションを求める形で利用することができる、とキーパーソンの方に伝え、コンサルテーションを受けるつもりで、専門相談に出向くという方法をとってみてはいかがでしょうか。
コンサルテーションを受ける際、
「当事者が何ができていて何ができていないのか/それに対して誰がどのように支援していてどのように困っているのか」
というように、できていないことだけでなくできていることも、また、困っていることだけでなく支援できていることも、バランスのよい情報を伝えると、話がスムーズに進みやすいと思います。
これは、「相談する側の相談力」と言ってもよいですね。
・援助職の相談力
相談する側の相談力として、もうひとつ大事なのは、支援をしている援助職として何に困っているのかを明確にして、それをきちんと伝えることではないでしょうか?
それを伝えることによって、相談先がたんなる情報提供にとどまらず、一緒に検討し、動いてくれる可能性が高まるかもしれません。
このことは、医療機関や保健所/保健センターなどの専門機関に協力を求める場合にも言えることではないかと思います。
つまり、「認知症の症状が重いから」とか「精神疾患があるから」ということで、専門医や保健センターのほうで対応すべき、と主張するのではなく、援助している者として、〜〜ということで困っている、〜〜ということでどのように援助してよいか悩んでいる、ときちんと伝える。
それによって、相手は相談に応じ、協力しやすくなるのではないでしょうか?
(3)については、とりあえず以上です。忌憚のないご感想・ご意見をいただければ幸いです!
次は、最後、(4)「サービス事業者への支援」についてです。