地域包括ケアシステムと施策

みなさま


衣替えをとっくに済ませた方も、これから、という方もいらっしゃることと思います。

東京は、昨日、今日とよい天気で、日差しのあるところでは暑いくらいでした。それで(?)、私はまだやっておりません。。。


さて、過日、新聞に、介護支援専門員によるケアプラン作成に1割の自己負担導入の検討、という記事が載っておりました。以前から何度か浮上していた案件ですね。

介護支援専門員協議会の方々が反対を主張しておられたと思いますが、給付抑制がまったなし、というところで厚生労働省としても今回は実現を図るというところなのでしょう。


厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室による、「保健医療2035推進本部行程表」には、この自己負担導入だけでなく、100を超えるさまざまな「施策」があげられています。

少し長くなりますが、情報提供させていただきます。

地域包括ケアシステムにかんしては、

施策番号23「地域包括ケアシステムと新たなまちづくりの融合や司令塔となるプラットホームを構築する」

施策番号40「健康なコミュニティづくりに向けたあらゆるステイクホルダーが協働するプラットホームを構築する」

施策番号41「あらゆる人がコミュニティで共生できる地域包括ケアシステムの実現を推進し、そのための地域総合ケアステーションを設置する」

施策番号42「あらゆる住民が、健康上、生活上のあらゆる課題について、ワンストップで身近に相談することができるための総合相談サービスを充実させる」

施策番号71「海外を地域単位で支える医療提供体制のグローバル連携を進め、保健医療の制度設計や運用を含む地域包括ケアシステムそのもの(地域単位での医療・介護システム)を輸出する」

地域包括ケアにかんして、

施策番号110「地域包括ケアを総括的に進める者の育成を図るとともに、医療と福祉の多職種連携を前提とした人材育成を行う」

施策番号111「医療や福祉の資格の共通基盤(養成課程等)を整理する」

関連して、

施策番号10「他の専門職との連携・調整にすぐれたマネージメント能力をもった専門人材を養成する」

施策番号11「総合的な資格創設(医療・看護・介護・リハビリを含めた対応が可能な職種)を検討する」


これらの施策をみる限り、地域包括ケアシステムの構築・維持を促進する国の施策としては、

aコミュニティづくりや地域資源開発のための情報・意見交換と協働の場の構築
bワンストップ型総合相談の一層の推進
c連携調整能力やマルチスキルをもつ人材の養成
といったていどです。

結局、サービスデリバリー・システムとしての側面と、地域資源づくり/まちづくりとしての側面を合わせもたせた「地域包括ケアシステム」というものを、構築・維持発展させていくのは自治体だからでしょうか。

その地域包括ケアシステムの構築も、たとえば、医療と介護の統合ケアを進める多職種チームの設置とか、地域活動を行う/行おうとしている諸団体の定例会の設置、つまり、システムづくりだけでは意味がありません。


そうした多職種チームが利用者にとって効果的に機能していくには、また、諸団体の定例会が有効に機能し、さらなる地域資源の探索や開発につながっていくためには、専門職の協働スキルーー専門職間や専門機関間の協働スキル(チームワーキングのスキル)、専門職と住民・地域資源との協働のスキルーーが、特にコミュニケーション・スキルが重要になると思います。

というより、イギリスの統合ケアにかんする研究では、この点を強調している文献が少なくありません。


私たちが、高齢者虐待対応のために整理・開発してきた、コミュニケーション・スキルを中心とする「協働スキル」は、地域包括ケアシステムを機能させるためのスキルでもある。そのように考えています。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

(2015年10月4日、AAAフォローアップMLにアップしたものと同じ内容です)

副田あけみ