寒中お見舞い

寒中お見舞い申し上げます


寒さが増しておりますが、みなさまお変わりありませんか?

北国の皆さまは、多くの雪で家庭訪問も本当に大変ではないでしょうか。

どうぞ、お気をつけください。


AAA研究会では、昨年9月の秋葉原研修にご参加いただいた方の中から、11月のフォローアップ研修後にお残りいただける方に集まっていただき、秋葉原研修で行った「協働スキル研修」についてのご感想やご意見をお聞きするヒアリングをいたしました。



私たちにとって、大変参考になる感想やご意見をたくさん聞くことができました。ご協力いただきました皆様、改めて御礼申し上げます。どうもありがとうございました。


そのご意見・ご感想をもとに、機関間協働についてちょっと書かせていただこうと思います。ご発言いただいた皆様、ご了解ください。


今日取り上げるのは、機関間での連携・協働における「パワーゲーム」です。


パワーゲームとは、一言で言えば主導権争い、他者をコントロールのための駆け引きです。一般的に言って、それぞれ独立した機関や部署が、何かの問題解決の仕組みづくりを構築する場合、また、実際に問題解決に向けての作業をする場合、互いに自分たちの組織にとって優位に事が運ぶように、より利益になるように、あるいは、より損失やコストが少ないように、交渉の中で駆け引きを行うことが常です。


ですから、委託―受託関係にある行政と(委託型)包括の間でも、包括とケアマネジャーの間でも、行政内部の部署間でも行政機関間でも、パワーゲームが生じる可能性はあります。


―虐待事例への対応において、行政と地域包括のどちらが主導権をとるかということがある。

―包括がケアマネジャー支援ということで動いても、ケアマネジャーからは、包括がえらそうに言ってくると思われてしまう。

―会議では、できないことはできないと言うように、自信のないことやできないことは引き受けて来ないように、上司から言われていた。


行政は、多方面の情報を収集する能力や、立ち入り調査およびやむを得ない措置等の権限を持っています。しかし、その職員は専門職資格をもたない5年未満の従事者が少ないという傾向があります。他方、地域包括は専門的能力や比較的長い地域ケア歴をもつ専門家集団を擁しています。両者の間で事例をめぐり、リーダーシップ争いが起きても不思議はありません。


二番目の発言にあるようなことは、ケアマネジャー支援を業務として行う包括のほうが、機関開設年数がケアマネジャー所属組織より短い、あるいはまた、包括職員よりケアマネジャーのほうが、経験年数が長く専門性も高い、といったことなどから起こるのでしょう。


三番目の状況も、自組織がやらず他組織に役割を押し付けるという意味で、パワーの行使です。


しかし、協働における「パワーゲームは何も生まない」(研修中の松本講師の発言)のです。


―主導権争いはチームの機能を阻害する。

―パワーゲームになると、労力を使って徒労感だけが残る。

―ちょっとした工夫で気持ちよくチームを作ることができればそれが一番よい。

―AAA研修の方法を使うと、気持ちよく互いにケースのことを見ることができ、チームの協働関係を作ることができる。


高齢者虐待対応における機関間のパワーゲームは、そのやりとりにどちらが「勝っても」、労力や神経を使った割には、利用者や家族のためにプラスになったという感覚をもたらしません。また、やりとりの過程で相手に対する不満や不愉快など、ネガティブな感情が発生しがちです。こうしたことによって、徒労感だけが残るのかもしれません。


では、「AAA研修の方法を使うと、よい協働関係を作ることができる」と感じるのはどうしてでしょう?これについては次回、書かせていただくことにいたします。

                                                (副田あけみ)