プラスのストローク

皆さま


年度がかわり、あっという間に1か月が経ってしまいました。過ごしやすい陽気になり、緑がキラキラして、訪問で自転車をこいでいると気持ちがよくてどこか遠くに行ってしまいたくなります。

さて先日、副田先生から協働スキル研修を受講した方々の感想を紹介する記事がありました。実は私もその研修を受講していたのですが、受講当時、私が所属していた組織(包括)で行っていた取り組みについてご紹介したいと思います。

高齢者支援において、多数の専門職や機関と協働する場面が多い包括や居宅のケアマネジャーですが、協働の入り口や支援の転換期などは特に、外部の機関とのやり取りには本当にパワーを使うなぁと日々実感しています。

電話でのやり取りの場合は顔が見えないのでなおさら受話器を持つ手が重くなる・・・ということ、ありませんか?

大事な話は「時間を惜しまず電話ではなく顔を突き合わせて話す」ということを普段から心がけていますが、日常的なやり取りの中ではどうしても電話で話をしたり、交渉しなければならない場面も多いと思います。

大事なやり取りなのに「うまく伝えられない」「伝えようと思っていたことが漏れてしまう」「論点を明確にできずだらだらと長くなってしまう」などなど・・・私たちのチームでも、電話でのやり取りについて色々な悩みとそれによるストレスを抱えていました。

電話によるストレスを減らしたい!との思いから、改善策をいくつか考案し、その中の一つとして「電話準備メモ」なるものが作られました。A4用紙の1/4の小さなメモですが、一番上には「悩ましい電話・・・かける前に準備をしよう!!」というコメント。


その下には「○電話の目的」、「○聞いておくこと」、「○注意点」と項目が続き、最後に「○近況、話題、相手へのプラスのメッセージ」という項目が設けられました。事前に項目に従って自分なりに整理をしたうえで、いざ!電話です!

準備のためのツールとして作成した「電話準備メモ」でしたが、それだけでなく、話の中での雑談の活用、とりわけ電話相手への「プラス」の一言を沿えるという視点を取り入れたところが、実は最大の特徴といえます。

なぜわざわざ最後に「プラスのメッセージ」という項目が入ったのか。

それは、電話に限らず、様々な業務上のストレスや対人関係のストレスを解消するためのチームの取り組みの中から共通して見えてきた気づきがあったからでした。
その気づきとは、「自分が変われば相手も変わる、まずは自分からプラスのストロークを投げてみよう。
そこからコミュニケーションの良い循環が生まれるのでは?!」というものでした。

ストレスコントロールの工夫として、「プラスのストローク」の大切さにチーム全体が気づいた
ことは、ツールの開発以上にとても大きなことだったと感じます。
そこから、この言葉が私たちチームの合言葉になりました。

「相手が動かない・・」「なぜわかってくれないの!?」と協働の場面で不満がつのることは確かにたくさんありますよね。機関の利害調整やパワーゲームが日常茶飯事になってしまっていることも・・。
でもストレス、たまりますよね?そのままではなかなかうまくいかない・・ですよね?

協働は相手の立場や役割を理解することから始まる。本当にそうだと思います。
それに加えて、自分がちょっと変わってみる。相手の強み、いいところを探して言葉にしてみる、そこから相手も変わる・・・かもしれない。

プラスのストローク、送ってみると案外気持ちのいいものです。
つい気恥ずかしくなることも私自身はあります(笑)でも、それで円滑にいくなら御の字だなぁと。
他職種・多機関との協働がうまくいくかどうかはクライエントの利益に直結するのですから。

私たちチームの気づきは、AAAの考え方や手法にもとても通じるものがあるな、と実感するとともに、協働スキルの大切さを改めて感じることのできた研修でした。

何かの参考になれば幸いです。


藤井日向