本のご紹介:『ソーシャルワーカーのミカタ』

 AAA研究会のメンバーの1人である芦沢茂喜さんが、私も知っている山岸倫子さんと、『ソーシャルワーカーのミカタ:対話を通してともに「解」を探す旅の軌跡』(生活書院、2022年)という本を出しました。

 2022年のコロナ禍、芦沢さんは保健所の職員として、山岸さんは生活困窮者支援相談室の職員として、それまでにも増して多忙な日々を送っていました。2人とも執筆には本当に短い時間しか割けなかったようですが、本書にはストーリー性があり、文章もうまく、一気に読ませます。

 タイトルの「ミカタ」には二重の意味があります。後輩のソーシャルワーカーや経験の浅いソーシャルワーカーが、支援にあたって自分たちの「見方」に固執することなく、また、「思い込み」を排して視野を広げること、そして、クライエント/利用者の「見方」の理解を心掛け、ていねいな対話を通してクライエント/利用者とともに「解」を探していく、そういう「旅」ができるよう、スーパーバイザーとして後輩たちの「味方」になり、後輩たちとの対話を通して一緒に「解」を探していく、という意味です。

 登場するのは、医療ソーシャルワーカーや困窮者支援の相談員ですが、本書が著している二重の意味の「ミカタ」は、どのような実践の場におけるソーシャルワーク、介護・生活相談にも普遍的なものだと思います。ソーシャルワークや生活相談の実践の場をよく知らない方々にも読んでもらいたい本です。