2017年度 AAA9月研修(第8回) セッションB:施設虐待防止(午前)
セッションBの前半、AAAが考える施設虐待防止のためのポイントについて、副田からお話しをさせていただきました。
いただいたご感想の中からいくつかご紹介し、私からリプライを書かせていただきます。
〇虐待とは何か、虐待についての知識は大切だが、本日のように虐待をおこさせない風土作りが大切なのだと改めて感じた。
リプライ: 虐待を起こさせない風土づくりこそ虐待防止に役立つ、というAAAのメッセージを受け取っていただき、感謝です。
人材不足、労働過重、研修不足等が、虐待発生の根底にあるのはまちがいないと思います。ですが、そのような中でも、虐待を起こさない風土づくり、チームワークづくりを心がけることはプロとして大切なことだと思います。
虐待防止だけでなく、離職防止にもつながるのではないでしょうか。利用者の方にとっても、職員の方々にとっても居心地のよい場をどうやってつくるか、その一つの方法がコミュニケーションのありようだと思います。
〇ピアスーパービジョン、BPSD等の用語の説明、解説が欲しかった。
リプライ: 申し訳ありませんでした。時間の制約に囚われ、端折ってしまいました。次回以降、気をつけたいと思います。
〇実際に虐待の起きた施設のその後の取り組みがあればよいと思った。
リプライ: そうですね。松尾さんがご紹介した、施設虐待の事実確認を行う際の、ストレングス視点による聞き取り調査法は、調査する行政側にも調査を受ける施設側にも、心理的負担が少なく、よい方向性を導くことができるといった評価を得ているものです。
実施の事例に加工を施した上で少しお話しできればよかったですね。次回以降の研修に反映できればと思います。
〇利用者から職員に対する暴力、暴言への対策をどうするか(法的なものも含めて)。
リプライ: 重要なご指摘、ありがとうございます。職員さんたちが、安全に仕事ができる環境でなければ、職員が利用者の安全を守り、利用者さんのQOLを高める支援はできないですよね。
障害者施設等での利用者さんからの暴力から身を守る方法や技法については文献も多少ありますが、高齢者施設についてはどうでしょう、あまり見かけないと思います。
バリデーション、ユマニチュードなどのアプローチを用いることで防止できるのか、どのような環境整備等があればよいのか、AAAでもいろいろ考えていきたいと思います。また、労災問題としてとらえるのか、法的問題はどうなのか、なども調べてみたいと思います。
〇事故はゼロに出来なくても、虐待はゼロにしていかないといけないと思う。講師の方が、リスクを少なくしていかなければ、と言われていたが、「少なく」では、ゼロには出来ないと思う。
リプライ: これもごもっともな意見だと思います。「虐待ゼロ!」という目標を掲げなければ、みなが一丸となって虐待を防止しようという気持ちになることができない、というご理解だろうと思います。
虐待はあってはならないことです。ですから、そのご理解はその通りだと思います。
ただ、その一方で、「虐待をゼロにしなければならない」という気持ちが強すぎると、リスク探しの視点、監視の目が強くなり、ストレングス視点を持ちにくくさせてしまう、それは、結果として、職員さんたちを防衛的にさせてしまい、職場の円滑なコミュニケーションを醸成せず、虐待防止の風土づくりに寄与しなくなりはしないか、という危惧ももっています。
もちろん、いろいろな考え方があってよいですよね。このご感想をいただいて、今後の研修の場で、直接意見交換ができる場を設けてはどうか、と考えています。
みなさま、ご感想をありがとうございました。
副田あけみ