韓国でのAAAワークショップ

一昨日、韓国ソウルで、AAAのワークショップをしてきました。
AAAのガイドブックが韓国版に翻訳され、それを記念してのワークショップでした。


3人の翻訳者のうちのお一人が解決志向アプローチ学会の役員、もうお一人が高齢者在宅福祉協会の役員ということで、この2つの組織が共催で開催してくださいました。

参加者は、解決志向アプローチ学会の会員の方と、施設および在宅の高齢者福祉関係者で、100名を超え盛況でした。ソウル市以外の高齢者虐待防止センターの方々もいらしていました。


通訳者は、日本の社会事業大学の大学院を出て、社会福祉法人に勤めている方でした。この方の通訳は素晴らしく(とみなさんが言っていました)、この方のおかげで、また、休憩の合間に軽妙な話をはさんでいただいた司会者のおかげで、(自分で言うのもなんですが)ワークショップはうまくいったように思います。うなづきながら聞いてた人も多く、みなさん、ワークについても協力的でした。


Q&Aの時間も計4回、時間をかけてとりましたので、数多くの質問をしていただけました。解決志向アプローチ学会の方からは、理論的な質問が、高齢者虐待防止センターの方々からは、日本の高齢者虐待対応全体についての質問が多かったです。


終了後、ご一緒に夕食を食べた防止センターの方にお聞きしたところ、韓国でも虐待が増えていて、息子による母親への虐待がもっとも多いとのことでした。


また、全国に防止センターは27あるが、それぞれ担当エリアが大きすぎて、相談通報があっても思うように家庭訪問できない、地域にある社会福祉館(地域福祉事業を実施する民間機関、社協に近い)に協力を求めてやっているがむずかしいことも多い。他方で、職員(社会福祉士たち)は対応の結果を出すことを求められており、疲弊してバーンアウトする者も多い、という話でした。


翻訳者の方や、出版社の方には時宜を得た実践的な本だ、とAAAのガイドブックを評価いただいていたのですが、韓国の虐待防止センターの現場では、ていねいな家庭訪問を主張するAAAは使えない?!?!?!


日本の地域包括支援センター職員のみなさんは、虐待対応に特化することなく、多くの多様な業務を実践されている。これも実に大変なことですが、担当エリアが限定されているので、ていねいな家庭訪問が行える可能性も相対的に高い。だから、AAAの話に耳を傾けてくださる。。。


しかし、今後、地域包括支援センターの業務がますます増えていき、それに見合った職員数が確保されていかないといったことがあれば、いくら担当エリアが限定されていても、ていねいな家庭訪問はむずかしくなっていくでしょう。


高齢者虐待は、地域包括ケアシステム構築という「国策」のなかではマイナーな問題かもしれませんが、深刻な人権侵害問題であり、「声なき声」が地域包括ケア推進策のなかで埋没していかないように、各自治体には留意していただかなくては・・・


韓国でのワークショップのご報告から少し話がそれてしまいました。失礼いたしました。

(副田あけみ)