9月研修のご報告:「多機関協働のスキル」研修

2018年度AAA9月研修を、9月22日、23日の2日間、首都大学東京で実施いたしました。実施内容や参加者のご感想、研修担当者としての振り返り等を、研修講師が手分けをしてご報告していきたいと思います。


今回は、2日目の午前中、副田が講師を行った「多機関協働のスキル」と、司会を担当した「トークセッション:やってみたAAAシート活用のケースカンファレンス」について、ご報告させていただきます。


 「多機関協働のスキル」は、地域を基盤に働くソーシャルワーカーやケアマネジャーにとって、多様な機関との協働は、今や支援方法における選択肢の一つではなく、デフォルト(標準、初期値)になっています。研修ではこの点を、理由を含めてお話した後、グループごとに、多様な機関との協働で日ごろ感じている課題についてみなさんで話し合っていただきました。また、それらの課題に対して行っている、あるいは行ったらよいと考えている対策についても話し合っていただきました。


 話し合いは、4人でつくるグループのなかで2人ずつペアになり、最初の6分間は片方のペアだけで話し合い、もう片方のペアは黙ってその話を聞く、その後、交代して、聞いていた片方のペアが6分間話し合をし、最初に話していたペアは聞くだけの役に回っていただく、そして、最後は4人全員で話し合うという、リフレクティング・プロセスの方法でやってみました。



 この方法によって、人の話をよく聞くことができ、「そうそう、自分だけでなくて、人もこういうことを感じていたんだ、そうだよなあ」とか「ああそうか、そういうふうに考えればいいんだ」といった自分のなかで、内的対話が起きやすくなります。


 参加者からいただいた感想のなかにも、「振り返りになった」とか「皆同じところに悩んでいるんだなとわかった」、「多様な機関の方の意見を聞くことができて有意義であった」といったものが目立ちました。


 グループの話し合いで出された対応策についても発表してもらい、それらを、かつて私たちがグループインタビュー調査をもとに明らかにした「多機関協働スキル」としての(1)システム構築スキル、(2)システム運営スキル、(3)コミュニケーション・スキル、(4)組織内マネジメント・スキルに沿って整理していきました。



 対応策はそれぞれたくさん発表されましたが、なかでも、(2)の一部に該当するケースカンファレンスのありようやファシリテーション・スキルの重要性を指摘する意見が、これまで私が行った「多機関協働のスキル」研修よりは、多かったように思います。
 


 当日午後のケースカンファレンス研修にも参加されるみなさんなので、ケースカンファレンスに関心がおありなのは当然と言えば当然なのかもしれませんが、私としては、「そうか、そうか、みなさんもそう思っていらっしゃるのか。」と内心嬉しかったです。そして、うまく次の話に、つまり、なぜ、安心づくり安全探しアプローチ(AAA)研究会が、AAA式ケースカンファレンス・シートを開発したのか、それはどういった特徴をもつものなのか、などにつなげていくことができました。



 通常、ケースカンファレンスは、事例へのプランづくりや困難解決策を決めるために行うものと捉えられがちですが、それだけでなく、多機関協働やチームアプローチを推進していくためにも積極的に活用されるべきもの、とAAAでは考えています。この点を、わかっていただけている!という感じでした。


 その後、ゲストお二人を迎えての「トークセッション:やってみたAAAシート活用のケースカンファレンス」を行いました。すでに長文になりましたので、初めのお約束と異なりますが、これについては、後日またご報告させていただくことにいたします。ここでは、トークセッション参加者の感想等を少しだけ、ご紹介しておきます。



「強みを先に話すことで辛いカンファレンスにならなかった経験をもっていたが、お二人の実践を聞くことにより、もう一歩理解が深まった。」

「実際に活用されている方のお話を聞いて、自分でも難しくなく利用できるのではと思えた。具体的な使い方も聞けてよかった。」

「高齢者だけでなく障害者虐待や、他にも広く応用できると知ることができた。」

「思ったより自由度が高いと思った。」

「初めてやるときとか、慣れてくるまでは不安があったと思うが、それはどうしていたのだろうか」

「医療職や地域の民生委員さんなど、問題志向になりがちな方と、どのように進めていくかが、自分にとっては課題となると思う。」



ではまた。(副田)