「まだ大丈夫なところ」「頑張っているところ」を探す


 鎌倉市社会福祉士,芦田と申します。AAAの研修にはスタッフとして,時々お邪魔しています。

 固定した所属はありません。いわゆる「独立型社会福祉士」をしており,高齢者については成年後見人をお引き受けしています。

 また神奈川県・横須賀市鎌倉市の各教育委員会の,スクールソーシャルワーカーとして,こども達の様々な課題に対応しています。


 スクールソーシャルワーカーとして,こども虐待の支援に関わっております。
 大変残念ながら,スクールソーシャルワーカーとしての実践の中で,「命に関わるトラブル」を経験し,心に大きなダメージを負いました。今でも,時々しん
どくなることがあります。


「関わる以上,命だけは何とかしなければ」と思いますし,命に関わる判断を時に求められる,重たく,専門性の高い仕事がソーシャルワーカー(ケアマネさんもそうですね)なのだと,改めて痛感しています。


 虐待を「罰する」方向で社会全体が動いている中で,関わる者がどうしても「罰する」かのような対応をしなければならないように感じている人も,少なくないのではないかと思います。この流れは,こども分野も高齢者分野も,似たような状況ではないかと感じます。


 こども分野では,児童相談所児童福祉法上そういう役割を担っていますので,ある面仕方ないところもあります。(児童虐待防止法以前でも,児童福祉法第28条等の強制的措置権を持っていたことは事実です)

 ただ現場の多くの児童福祉司は「罰する」対応もしつつ,親子分離は「こどもの権利条約」等との関係や,分離後の「再統合」(この語もきちんと定義しなければならないのですが)のことを考えた時に,「親子でいられる可能性」や「まだ大丈夫」あるいは「頑張っているところ」を探す努力をしていると,一緒に仕事をしていて感じます。
 

「AAA」の基礎の一つである,サインズオブセーフテイー理論を常に実践していると言っていいと思います。(そうではない児童福祉司もいるのでしょうが,私の周囲の児童福祉司は概ねそういう感じです)


 私自身も,学校現場で虐待(それも即児童相談所という重篤なケースからネグレクトまで)に関わる中で,学校の先生方や地域の方,時には市町村の担当者(いわゆる行政職の方)が,どうしても親御さんを「罰する」発言をすることが多い中で仕事をしているので,それに流されないよう「AAA」の考え方を意識するようにしています。


 「このお母さんは,私たちの目線から見れば不十分ですが,お母さん/お父さんなりに体調の悪さを押して○○は頑張っていますね」というような感じで,直接お母さんやお父さんに関わる方が,ちょっとでも労いの声をかけてあげられる,あるいは苦労を少し想像しやすくなるような発言をすることを,心がけています。


 私自身が面接をする時にも,そのような意識を持って関わることを,常に頭に置いています。(失念することもありますが)


 「AAA」の考え方や技法は,高齢者分野だけでなく,こども分野でも十分応用ができると思っていますし,広く虐待対応の一つのセオリーとしてもっと広めていけたらと思っています。


 虐待に関わることは,本当にしんどいことですが,AAAを通じて知り合った仲間同士,お互いの情報交換を行ったりしていく中で,「頑張ろう」という気持ちになれたら,とてもうれしく思います。

 よろしくお願いします。

(芦田)