研究会メンバー便り:実践者の立場から

AAA研究会に新たにご参加下さったメンバーのお一人、大坂慎介さんからブログ記事を投稿頂きました。大坂さんは、ケアマネジャーの立場で実践を積み重ねながら、大学院に通い学びを深めていらっしゃる方でもあります。
大坂さん、今後ともよろしくお願いいたします。

                          1. +

私は、1昨年からAAA(安心づくり安全探しアプローチ)研修に参加させていただいています。今年からは研究会メンバーとして関わらせていただいております。今回は私がAAAで学んだことをご紹介させていただこうと思います。

支援者の皆さんや支援チームの方々が関わる、地域に多くあるとされる貧困や病気、虐待な複数の課題を抱える「支援困難事例」は複雑であるがゆえに、その支援方法は難解であると言われています。問題の中からその人らしさを導き出すことは容易ではないでしょう。私自身ケアマネジメントの実践の中で、複雑な問題が重なる事例の支援の際に、「問題を解決しきれない不全感」を感じたり、「チームアプローチにおいて当事者が見えにくくなる」といった困難感を感じて疑問に思っていたころ、ソーシャルワークの方法論として、この「AAA」と「解決志向(ソリューションフォーカスト)アプローチ(SFA)」に出会いました。

まずは、秋葉原での研修に参加し、レクチャーを体験しました。その後テキストを読み、実際の面接の場面で意識的に思考プロセスをイメージして、傾聴をしながら例外や対処を聞き出しつつ、ストレングスを探りました。繰り返し少しづつスモールステップで課題を探していくことにより、徐々に協調関係ができてくるような手ごたえを感じたといいましょうか、自分自身の関わりを肯定的に受け止めることができるような意識が芽生えたような気がしていました。さらには、自らの研究への問題意識を広げるきっかけをいただけたというのもAAAとSFAを学んだ効果です。

「支援困難事例」の多くは支援者側の課題であるともいわれています。そこには地域、社会における問題や課題が隠れていることもあるのではないでしょうか。そして、難解なテーマを抱えている事例に向かうからこそ専門職としての対人援助の本質が問われているのだと思います。まだ学びを始めたばかりです。これからも研究テーマと共に実践力を高めていけるように継続していこうと思います。

                          1. +

(長沼葉月&大坂慎介)