虐待が疑われる事例への面接技法について

ブログをご覧いただいた皆様
(この記事はフォローアップMLへの投稿記事を改稿したものです)

今年の秋葉原研修では、プログラムメニューも大幅な変化がありましたが、
「面接技法」の講義部分にもマイナーチェンジがありました。

ざっくり申し上げると、特に信頼関係が十分に築けていない段階では
「相手の非を指摘する面接は不毛である」という視点を
明確に打ち出しましたことにあります。

具体的な対応方法としてはAAAでこれまでお伝えしていたように、
相手の考えを丁寧にお聞きしましょう、ということになります。
(スキルの詳細は研修でお伝えした通りです)

高齢者虐待防止のための家族支援: 安心づくり安全探しアプローチ(AAA)ガイドブック

高齢者虐待防止のための家族支援: 安心づくり安全探しアプローチ(AAA)ガイドブック

それらの考え方の参考になる書籍をここではご紹介します。

解決志向アプローチを暴力加害者へ応用した実践についてはこちら。

DV加害者が変わる-解決志向グループセラピー実践マニュアル

DV加害者が変わる-解決志向グループセラピー実践マニュアル

既にさまざまに応用されているのです。

なぜ加害者の非を指摘しないのかについては以下。

反省させると犯罪者になります (新潮新書)

反省させると犯罪者になります (新潮新書)

岡本茂樹「反省させると犯罪者になります」

誇張気味なタイトルですが、「反省」を強要するアプローチが関係性の表面をなぞっていくだけだという現実が透けて見えます。学校や触法者への支援場面に関する説明が中心ですが、同じことは色々な領域で言えると思います。

方法としての動機づけ面接―面接によって人と関わるすべての人のために

方法としての動機づけ面接―面接によって人と関わるすべての人のために

原井宏明「方法としての動機づけ面接」

話を聴く、という点で大変参考になります。精神科医療場面の例ですので、医師による指導という雰囲気を感じる面接実録ではありますが、話をどのように引き出していくのか、問いかけていくのか、日本語での実践紹介は参考になります。

教師と親のための子どもの問題行動を解決する3ステップ

教師と親のための子どもの問題行動を解決する3ステップ

ロス・W・グリーン「教師と親のための子どもの問題行動を解決する3ステップ」

問題点を指摘する代わりにどうしたら良いのか。三つのステップに分けて考える手法は大変分かりやすいです。同時に、援助職側が「相手に問題があるから自覚させなくては」という前提で関わることが、どのように真摯な話し合いを遠ざけてしまうのかがわかりやすい事例で伝わります。学校場面での適応が中心ですが、発想方法は非常に使えるものです。

以上、ご紹介でした。
(長沼葉月)