アジア太平洋ソーシャルワーク会議のご報告

アジア太平洋ソーシャルワーク会議で無事シンポジウムを終えました。

配布された抄録・プログラム集に記載された開催時刻の訂正の通知が分かりづらかったため、混乱なさった方もいらっしゃったかもしれません。
それでも当日は約20名の方にご参加いただき、大事な点についてご質問も頂きました。

当日の概要を以下にまとめます:

1.日本の高齢者虐待をめぐる動向
虐待の件数の推移、特に近年は「嫁によるネグレクト」から「未婚の子どもによる身体的・心理的虐待」の発生数が増えていること等、統計資料を用いた提示がありました。また制度上の位置付けも紹介されました。

2.支援困難事例としてのアプローチ
「高齢者虐待」という枠組みに応じて特別な関与が必要になるのではなく、通常の「支援困難事例」と同じように丁寧に関わっていく必要があること、特に初動期の対応の重要性が指摘されました。その際にソーシャルワークの専門性としてどのような価値と倫理と視点に基盤を置いた援助が必要か、という基調をなすテーマが提示されました。

3.高齢者虐待対応の介入方法の転換
これまでの高齢者虐待への介入方法について概観し、なぜ困難感が生じてしまうのか、円環的システムの視点から説明がなされました。その上で安心づくり安全探しアプローチをなぜ開発したのか、理論的な説明が提示されました。

4.安心づくり安全探しアプローチの研修と効果
AAAの内容を丁寧に説明しつつ実際の研修の様子を提示しました。またその結果、対処可能感が向上していることもアンケート結果から示しました。

ディスカッション:
地域包括支援センター社会福祉士が抱えるディレンマへの課題、いわゆる「インボランタリーなクライエント」を社会資源と結びつけていくための方法、こうしたアプローチが単なる「技法」へと矮小化せずソーシャルワーク実践として位置付けられるための工夫、ケースカンファレンスにおける当事者参加の方向付けといったテーマについてディスカッションがありました。

ご参加いただいた皆さまありがとうございました。
実践に役立つアプローチとしていくため、今後も機会を踏まえてご紹介していき、また実践者の方との情報共有の機会も重ねて行きたいと思います。今後ともどうぞよろしくお願いいたします