「多職種協働」と「機関間協働」

[フォローアップ研修MLの2/24の記事とほぼ同じ内容です]

みなさま

東京多摩地域では、梅が満開のところも出てきました。
みなさまのところは、いかがでしょうか?

一昨日、いろいろな機関に所属されている社会福祉士さんたちに、協働スキルとケースカンファレンスの研修をさせていただきました。

その際、多職種協働とか機関間協働といった言葉がある、といって簡単に説明しました。

その後、生活支援ニーズを抱えた人々に対する協働実践には、各専門職の視点や知識、技能よりも、その所属機関の目的やポリシー、資源量などが反映することが多いので、本研修では、多職種協働よりも機関間協働という言葉を使います、今後の地域包括ケアシステム論の展開のなかでは、多職種協働とか多職種チームの用語のほうがより使われると思いますが、、、と言って話をしました。

研修後の雑談のなかで、一人のMSWの方が感想を述べてくださいました。
 
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日頃、病院のスタッフから、家族の生活支援ニーズなどについて余分なことはしないように、あなたは病院の一員としてすべきことをすればよい、といったことを言われる。MSWの専門性から、SWとしてすべきことだという判断から対応しようとしているので、そのように言われることには納得がいかなかった。
 
しかし、話を聞きながら、SWとしての専門性を強調するよりも、機関の一員であることを自覚し、必要な支援を実施してくれる機関につないでいくことを考えていくようにすべきだと思った。

必要であっても、所属機関の一員としては対応できないことについては、対応可能な機関につないで、お願いしていく。そこまでは自分の仕事、そのように、医療スタッフにも言えればよい。

機関につないでいくことが大事。だから、多職種協働ではなくて、機関間協働の言葉を使うのでよいかもしれませんね。

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高齢者虐待防止学会横浜大会で行った大会長講演でも、この「つなぐサービス」の必要性を強調させてもらいました。また、そのために、虐待する家族や他機関とのよい関係性を構築するためのアプローチやスキルが重要なのだ、と話をさせていただきました。

ですので、このMSWの方の感想は嬉しかったです。
また、専門職の専門性に頼るというより、機関の専門性に頼るという意味では、多職種協働よりも、機関間協働の言葉を使ったほうがよいのでは?といってもらえたことも嬉しかったです。

地域包括ケアシステムの展開のなかで、大都市部などでは、地域のなかのサービス資源が圧倒的に不足する状況がでてきます。

そうしたなかで、多様なサービスをどことどこが協働して提供していくかについては、多職種チームの専門性に基づく話し合いによって決まるのではなく、各所属機関のポリシーや資源量によって決まってくるという傾向が強くなっていくのではないでしょうか? 

もっとも、「多職種協働」の用語を使うべきか、あえて「機関間協働」の用語を使っていくか、しばらく悩みそうです。。。

みなさまから、多職種協働、多職種チーム、機関間協働などの言葉やその実態などについて、ご意見やご感想をお聞かせいただければ嬉しいです。

まだ寒さは続きますね。ご自愛ください。

副田あけみ