研修時の疑問へのお答え:(1)「加害している方に認知症がある事例へのAAAによる対応」

前回のブログ(4月2日)で、研修の感想・意見をいくつかあげさせていただきました。

最後にあげた感想:
「加害している方に認知症があるといった場合にどうアプローチすればよいのか?高齢者夫婦の間で虐待がある場合は?と講義を聞きながら考えて自分の考えがまとまらなかった。」

について、どうお答えしたらよいか、私たちのグループで意見交換をいたしました。

出てきた意見を4点に整理しましたので、これから4回にわたってお伝えしていこうと思います。

(1)「加害している方に認知症がある事例へのAAAによる対応」

・ AAA(スリーA)による捉え方
「加害している方が認知症である」は、あくまで『リスク:状況を複雑化する要因』と考えることができます。つまり、認知症も、知的障害や精神疾患、パーソナリティ障害と同じリスクの1つ、ということです。

大事なことは認知症であるかどうか、というよりは「問題のパターンがどのようなものか」、「その問題パターンは回避したり、防止することができるのか」です。


・被害を受けている方との対話
AAA(スリーA)の研修では、加害している方との面接、対話の方法についてお話していますが、この場合、面接・対話の相手は、被害を受けている方です。

「問題」はどのようなパターンで生じているのか、被害を受けている方は、それにどう対処して今までやってこられたのか、そのパターンが生じなかったという「例外」はどういうふうに起きたのか、、、 とお話を聞きながら、コンプリメントを重視した対話を重ねていきます。


・被害を受けている方の力量
被害を受けている配偶者やお子さん自身もかなりの高齢であったり、軽度認知障害(MCI)が推測されるなど、対話を重ねていくことがむずかしいと、面接を通して判断する場合もあります。

この場合については、次回、(2)「誰をキーパーソンに?」で述べます。


・双方の安全を守る
被害を受けている方と対話を重ねていくことができ、「問題」が認知症の症状の出現以前からある、あるいは、認知症の進行に伴い「問題」が頻発するようになってきた、加害している方との対話は困難、といったような状況で、被害を受けている方へのコンプリメントを重視した対話を重ねても、「問題」のパターンを回避したり防止する方法がうまくみつからない場合、専門医への受診、保健センターへの相談等を提案します。

その際、被害を受けている方の身を守ることは、加害している方の身を守ることになる、つまり、双方にとっての安全を確保するための専門相談であることを伝えます。

もし、暴力が激しく危険性が高い場合には、緊急対応を行います。


専門相談の相談先や相談の仕方、また、緊急時の相談先については、3回目の(3)「専門相談の相談先と相談の仕方」で記述します。4回目は、(4)「サービス事業者への支援」について書かせていただきます。

(1)については、とりあえず以上です。忌憚のないご感想・ご意見をいただければ幸いです!

http://www.elderabuse-aaa.com/