「ひきこもり」の人々への支援
みなさま
東京は朝夕、かなり涼しくなってきましたが、みなさまの地域はいかがでしょうか?
私たちの仲間の芦沢さんが日頃行っている「ひきこもり」の方々への支援活動、これが放映されました。下記のNHKのひきこもり特設サイトで、ご覧頂くことができます。
https://www3.nhk.or.jp/news/special/hikikomori/articles/survival_16.html
合わせて、厚生労働省が、2020年度から強化するという「断らない相談」について。今後、これがどういう形で展開していくのか、みなさまから情報提供いただければ、大変ありがたいです。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019082200154&g=eco
「断らない相談」対応強化=貧困・介護、たらい回し防止-厚労省
厚生労働省は、子どもの引きこもりが長期化し、親も介護や貧困を抱えて行き詰まるなど生活上の複合的な問題に一括して対応する「断らない相談支援」を、2020年度から強化する。役所内で問題をたらい回しにしない体制を整えるほか、窓口を置く市町村も増やす。20年度予算概算要求で今年度の倍額に当たる約60億円の関連事業費を計上する方向で調整している。
引きこもりの子が50代、親が80代と共に高齢化する「8050問題」や、介護と子育てを同時に抱えて負担が過重になる「ダブルケア」などの問題には、従来の制度を超えた柔軟な対応が必要。「断らない相談支援」は、異なる福祉分野の課題を一度に抱えたケースに一括して応じる仕組みで、厚労省が提唱している。
20年度は、市町村の「断らない相談」で明らかになった、既存の制度ではカバーできない就労、居住支援などのニーズに対応する予算を確保。継続した支援ができるよう、社会福祉協議会やNPO、企業や商店街といった地域のさまざまな関係者に参加を促す仕組みもつくる。具体的には、関係者に働き掛けるコーディネーターを市町村に新たに配置する。
19年度予算では、断らない相談窓口の設置経費に充てる補助金を200市町村分確保していたが、20年度はこれを250市町村分まで増やしたい考えだ。 (JI.Ji.Com.20190822〉
AAA 2019年度高齢者虐待防止研修のご案内
安心づくり安全探しアプローチ(AAA)2019年度高齢者虐待防止研修のご案内
★日時: 9月 21日(土)10:00~17:00
22日(日)10:00~16:00
★場所:北沢タウンホール第1,2会議室 東京都世田谷区北沢2-8-18
★講師: 副田あけみ(関東学院大学)、長沼葉月(首都大学東京)、土屋典子(立正大学)、松本葉子(田園調布学園大学)、松尾隆義(本研究会会員)、遠藤正芳(加須市)
★詳細は、AAAのHPをごらんください。http://www.elderabuse-aaa.com/seminar.html
9月21日(土)家庭内高齢者虐待防止研修 (資料代2,000円)
9月22日(日)施設内高齢者虐待防止研修 (同上)
※21日の出版記念イベントにご参加下さる方には「チーム力を高めるケースカンファレンスー複合問題事例(支援困難事例)への多機関協働―)」(瀬谷出版)を差し上げる予定です。
★申し込みもHPからお願いします。まだ、多少、席が残っております。
9月研修のご報告:「多機関協働のスキル」研修
2018年度AAA9月研修を、9月22日、23日の2日間、首都大学東京で実施いたしました。実施内容や参加者のご感想、研修担当者としての振り返り等を、研修講師が手分けをしてご報告していきたいと思います。
今回は、2日目の午前中、副田が講師を行った「多機関協働のスキル」と、司会を担当した「トークセッション:やってみたAAAシート活用のケースカンファレンス」について、ご報告させていただきます。
「多機関協働のスキル」は、地域を基盤に働くソーシャルワーカーやケアマネジャーにとって、多様な機関との協働は、今や支援方法における選択肢の一つではなく、デフォルト(標準、初期値)になっています。研修ではこの点を、理由を含めてお話した後、グループごとに、多様な機関との協働で日ごろ感じている課題についてみなさんで話し合っていただきました。また、それらの課題に対して行っている、あるいは行ったらよいと考えている対策についても話し合っていただきました。
話し合いは、4人でつくるグループのなかで2人ずつペアになり、最初の6分間は片方のペアだけで話し合い、もう片方のペアは黙ってその話を聞く、その後、交代して、聞いていた片方のペアが6分間話し合をし、最初に話していたペアは聞くだけの役に回っていただく、そして、最後は4人全員で話し合うという、リフレクティング・プロセスの方法でやってみました。
この方法によって、人の話をよく聞くことができ、「そうそう、自分だけでなくて、人もこういうことを感じていたんだ、そうだよなあ」とか「ああそうか、そういうふうに考えればいいんだ」といった自分のなかで、内的対話が起きやすくなります。
参加者からいただいた感想のなかにも、「振り返りになった」とか「皆同じところに悩んでいるんだなとわかった」、「多様な機関の方の意見を聞くことができて有意義であった」といったものが目立ちました。
グループの話し合いで出された対応策についても発表してもらい、それらを、かつて私たちがグループインタビュー調査をもとに明らかにした「多機関協働スキル」としての(1)システム構築スキル、(2)システム運営スキル、(3)コミュニケーション・スキル、(4)組織内マネジメント・スキルに沿って整理していきました。
対応策はそれぞれたくさん発表されましたが、なかでも、(2)の一部に該当するケースカンファレンスのありようやファシリテーション・スキルの重要性を指摘する意見が、これまで私が行った「多機関協働のスキル」研修よりは、多かったように思います。
当日午後のケースカンファレンス研修にも参加されるみなさんなので、ケースカンファレンスに関心がおありなのは当然と言えば当然なのかもしれませんが、私としては、「そうか、そうか、みなさんもそう思っていらっしゃるのか。」と内心嬉しかったです。そして、うまく次の話に、つまり、なぜ、安心づくり安全探しアプローチ(AAA)研究会が、AAA式ケースカンファレンス・シートを開発したのか、それはどういった特徴をもつものなのか、などにつなげていくことができました。
通常、ケースカンファレンスは、事例へのプランづくりや困難解決策を決めるために行うものと捉えられがちですが、それだけでなく、多機関協働やチームアプローチを推進していくためにも積極的に活用されるべきもの、とAAAでは考えています。この点を、わかっていただけている!という感じでした。
その後、ゲストお二人を迎えての「トークセッション:やってみたAAAシート活用のケースカンファレンス」を行いました。すでに長文になりましたので、初めのお約束と異なりますが、これについては、後日またご報告させていただくことにいたします。ここでは、トークセッション参加者の感想等を少しだけ、ご紹介しておきます。
「強みを先に話すことで辛いカンファレンスにならなかった経験をもっていたが、お二人の実践を聞くことにより、もう一歩理解が深まった。」
「実際に活用されている方のお話を聞いて、自分でも難しくなく利用できるのではと思えた。具体的な使い方も聞けてよかった。」
「高齢者だけでなく障害者虐待や、他にも広く応用できると知ることができた。」
「思ったより自由度が高いと思った。」
「初めてやるときとか、慣れてくるまでは不安があったと思うが、それはどうしていたのだろうか」
「医療職や地域の民生委員さんなど、問題志向になりがちな方と、どのように進めていくかが、自分にとっては課題となると思う。」
ではまた。(副田)
『ひきこもりでいいみたい』
AAAでは、この土日に第9回AAA9月研修を実施いたしました。
ご参加いただきましたみなさま、ありがとうございました。
参加者のみなさまのご感想やご意見、講師の感想やリプライなどは、この後、随時、簡潔にお伝えしていこうと思っています。
ここでは、その研修初日の講師の一人であった芦沢さんが執筆した本の紹介記事をご紹介させていただきます。
下記のDIGITAL朝日新聞の記事です。
https://www.asahi.com/articles/ASL9J3DY7L9JUZOB002.html
ごらんいただければ幸いです。
(副田)
拘束のペナルティー厳格化(ML記事と同じ)
お読みになった方もいらっしゃると思いますが、「福祉新聞」(6月4日)に、「身体拘束のペナルティー厳格化、指針作成期限迫る」という記事が載っておりました。
2018年4月の介護報酬改定で、身体拘束に関する減算の要件が厳しくなり、減算幅も10%に上がったとのこと。
身体拘束適正化のための指針を作成し、委員会を3ヶ月に1度開き、職員研修を年2回以上行うことに、また、6月までに指針を作成して、委員会を開催し、研修体制を整備しておくことが求められるそうです。
厳格化は、介護事業所の職員による虐待が増加していることが背景の一つにあると、記事は書いています。
身体拘束が虐待であることの認識をもち、3要件を満たしたとしても出来得る限り慎重に行うべきことであるという認識を浸透させるのは望ましいことです。
ですが、虐待防止対策が、こうした管理強化の方向性を強めていくだけならば、かえって不適切介護や虐待の温床を作っていくことになるのではないかと危惧します。。。。
AAA研究会の9月研修では、AAAの視点からの施設虐待防止プログラムとトークセッション、また、スーパービジョンのプログラムも実施します。
ぜひ、ご参加ください。
詳細は、AAAのホームページをごらんください。 http://www.elderabuse-aaa.com
お申込みもこちらからです。
(副田)
重篤事案の検証
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、認知症介護研究・研修仙台センターが、『高齢者虐待における重篤事案〜特徴と検証の指針〜』を発表しました。
その一部をご紹介します。
★死亡事例の全体的な傾向
・ H24年度から4年間で調査該当事例92件
・「殺人」が37.4%、「ネグレクトによる致死」が31.9%
・ 加害者は、「息子」45.1%、「夫」23.1%
・「経済的困窮・生活苦あり」33.3%
・ 加害者・被害者との関係性は不明を除くと依存・支配的な関係、葛藤ありケースが73.1%
・ 介護サービス利用、医療機関利用、行政への相談は、「あり」が81.3%
・ 発生要因としては、「加害者の障害・疾病」42.3%、「加害者の介護づかれ・介護ストレス」38.0%、「経済的困窮・生活苦」38.0%
★ 重篤事案(虐待の深刻度が4,5)の全体的な傾向
・ H24年度から4年間で調査該当事例2,634件
・ 「身体的虐待」が69.9%(それ以外:67.5%)、「ネグレクト」が32.4%(それ以外17.1%)
・ 発生要因としては、「加害者の障害・疾病」26.5%、「加害者の介護づかれ・介護ストレス」25.8%、「経済的困窮・生活苦」17.4%
★ 自治体が上げた死亡事件の課題と対策の傾向
・ 事前対応にかんする課題:「関係者・機関との情報共有・連携・認識ギャップ」30.0%、「事前の兆候察知・情報把握」20.0%、「加害者を含む養護者支援・家庭支援(家庭全体としての情報把握を含む))18.9%
・ 事件を受けてとった対応策:「関係機関連携・情報共有の強化」24.4%、「研修会の実施、啓発活動の実施」13.3%
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* 死亡および重篤事例に関しては、事前対応において、「関係機関連携・情報共有の強化」や「加害者を含む養護者支援・家庭支援」が一層重要であるということですね。
* 重篤事例についても、関係機関連携・情報共有のために、「AAA多機関ケースカンファレンス・シート」を活用していただけたらと思います
(http://www.elderabuse-aaa.com/contact.html)
当該事例の「安全像」(当該事例にとって安全・安心と言える状態像)を具体的に描き出すときは、同時に「危険像」も描きます。現時点での当該事例の状態は、この二つの状態像のどこら辺りに位置付けられるのか。
カンファレンスの参加者全員で、この作業を行います。
(副田)